公益社団法人日本 PTA 全国協議会について

2024 年 4 月 12 日

群馬県PTA連合会

会長    市  東    剛  

 本年 3 月 16 日開催の本会会長研修会において、千葉市 PTA 連絡協議会(以下「千葉 市 P 協」)とさいたま市 PTA 連合会(以下「さいたま市 P 協」)が相次いで日本 PTA 全 国協議会(以下「日 P」)を脱退するという報道を受け、現在の日 P の状況の説明がほし いとの質問がありました。そこで、今までの経緯や今後の対応をふまえて回答いたします。

 ことの発端は、2023 年 6 月 23 日に開催された日P定時総会にて 2022 年度の決算で約 5000 万円もの巨額の赤字が生じたことが報告されたことです。当時の金田会長は、今こ そ日Pのウミを出す、そして徹底的に赤字の原因の究明を行うことを約束し、日P改革委 員会の発足を発表しました。その結果、2023 年度の会計決算が承認され、金田会長の続 投が議決されました。私は、PTA 改革を成し遂げるべく日 P 改革委員会への参加を申し 込みました。

 しかし、7 月の代表者会議直前夜に、金田会長は突然理事会において会長職を解職さ れ、巨額の赤字の原因究明は頓挫。新執行部により日 P 改革委員会も消滅させられ、赤 字の責任も追及されることなく葬られました。

 金田前会長の解任理由については事務員に対してパワハラがあったとの説明がありまし たが、その決定プロセスや金田前会長の後任の新たな会長として後藤氏が選任された経緯 に疑問を感じました。日 P は、この一連の経緯に対し、質疑や詳細の開示を一切行わ ず、一方的な発信に終始しました。

 その後、解任理由は金田前会長が会長職にふさわしくないというはっきりしない曖昧な 内容に変わりました。理事会での解任決議は、パワハラが理由と説明があったにもかかわ らず、それとは別に全く理解できない説明が一方的になされ、質疑も行われないという不 誠実な対応が続きました。

 その後、新執行部は赤字の原因追及をまったくしなかったため、関東ブロックの有志に より一連の赤字に関連する情報の開示請求を行い、8 月 31 日、9 月 7 日、10 月 9 日、11 月 8 日、と 4 回にわたり日程を設定して日Pに対して開示を求めたにもかかわらず、その 都度拒否されつづけました。これは公益社団法人として、社員からの情報開示請求に応じ ないという不当行為であり、時間切れで幕引きを図ろうという意図が感じられます。

 そのような中、さいたま市 P 協から日 P へ公開質問状が出されましたが、日 P はこれ に事実上の対応を拒否。さいたま市 P 協では、協議会として会員の皆様に説明できる返 答が得られないとして、満場一致で日 P からの脱退が決議されました。千葉市 P 協も同 様に日 P の不誠実な対応への不信感から脱退が決議されています。

 日 P は、11 月 26 日になって関東ブロック PTA 協議会(以下「関東ブロック協」)と の協議の場を設定し、やっと開示請求に応じたかに見えましたが、膨大な資料を提示する のみで、法律では認められているはずの謄写を拒否。帳簿類を謄写できなければ精査する ことができないため、交渉を行った結果、日 P は謄写に応じることとなりましたが、そ の日は時間切れとなりました。日 P とは、後日謄写して開示するとの約束を交わし、ま た、この開示請求時のやりとりの議事記録動画について、各協議会へも公開するとの約束 がなされたのですが、日 P は無視し続け、動画を公開しておりません。また、日 P は随 時情報公開を行うとしたにもかかわらず、2024 年 2 月になってからようやく 2022 年 4 月及び 5 月分のわずか 2 か月の会計伝票の写真を送付してきました。しかしながら、これ らの写真はいずれも不鮮明で通番の確認もできず、まったく情報公開の要件を満たしてい ません。

 このような日 P の不誠実な対応を受け、関東ブロック協では、正式な決議をもって臨 時総会の開催請求を行い、現執行部の解任を要求しました。また同時に、前理事の辞職に 伴い不在となった関東ブロック推薦理事として、やはり正式な決議をもって新たに茨城県 の畠山佳樹氏を推薦しました。

 ところが、2024 年3月 14 日に行われた臨時総会において、執行部は、関東ブロック 協がいつまでも騒ぎを止めず、日 P の正常な運営を乱していると主張し、上記の提案に 対していずれも否定的な態度を示しました。しかしながら、最初に赤字原因の徹底追及を 謳って日 P 総会において会長に選出された金田前会長を、翌月の理事会において突然解 任するという卓袱台(ちゃぶだい)返しをしたのは現在の日 P 執行部です。しかも、そ の後全く説明責任を果たさず、結果として私も皆さんへの報告ができておりません。日 P 執行部がこのまま時間切れを狙っていることは、明白です。残念ながら臨時総会では正会 員の 3 分の 2 の同意は得られず、関東ブロック協の提案はすべて否決されました。その結 果を受けて、私として報告できることは、日 P は全く説明責任を果たしていないという 事実のみであります。

 

 また、次のような点も日 P に疑念が残る材料となっています。

 

1. 金田前会長を解任し、後藤会長を強引に会長にねじ込んだ人物は、先の日 P 役員選 考委員長で OB の T 氏である。T 氏が理事を務める一般社団法人地域創生応援団と 日 P は業務提携を結んでおり、親密な取引関係にあります。この地域創生応援団 は、PTA 会員を対象として収益事業を行うことを目的とし、そこには歴代の日 P 会 長や役員が名を連ねておりますが、そのような利益誘導的団体と取引関係を結ぶこと は、現在の PTA の一般会員の理解を得られるものではありません。

 

2. 2023 年 10 月 15 日に、関東ブロック協推薦理事の K 常務理事は、我々関東ブロック 協の総意を叶えられなかったとして責任をとり、日 P 理事を退任しました。よって 後任の理事を関東ブロックから選出するべきなのに、日P執行部は辞任ではなくて休 養を取っているだけと虚偽の理由を盾にして代理の理事選出を拒否。その後辞任は認 めましたが、関東ブロック協に所属する 16 協議会の発議を無視し、後任理事は不要 との理由で未だに後任理事を受け入れていません。現在も関東ブロック推薦理事は不 在のまま、理事会が行われています。

 

3. 2022 年にさいたま市 P 協で発覚した 1000 万円を超える使途不明金の当事者である 元さいたま市P協会長で、日 P 元参与の A 氏は、日 P 会館屋上の防水工事発注を担 当しておりましたが、当初見積もりが 850 万円であった工事の追加発注を繰り返し、 工事費用の総額 2500 万円まで拡大させ、日 P に巨額の赤字を発生させた件の担当者 でもあります。この金額は、たった 100 平米に満たないビルの塗装防水工事としては 異常に高額です。2023 年 11 月 26 日に開催された情報開示を目的とする日 P と関東 ブロック協との正式な協議の席においても、同年 6 月の日 P 総会の前に参与の職も 辞して現在は無役であるはずの A 氏が登場し、議事の進行を無視して関東ブロック 協の参加者に対する恫喝を繰り返すなど、後藤会長や専務理事をはじめとする日 P の現役員が如何に A 氏ら OB の傀儡に過ぎないかを証明する結果になりました。こ の A 氏は、さいたま市 P 協で発生した 1000 万を超える使途不明金事件につき、その 関与があったものと第三者委員会の報告によって結論付けられています。それにもか かわらず、日 P は、そのような人物を参与として迎え、事務局の人事から不正が疑 われる工事の手配までもされていたのです。情報公開時の動画を公開しないのも、現 執行部とこの元参与A氏の繫がりがはっきりわかるためと思われます。さらに、金田 前会長の解職の理由として挙げられたパワハラの対象である日 P 事務局員は、A 氏の 紹介により採用されており、そもそも金田前会長解職の正当性自体にも非常に強い疑 念が残ります。

 

4. 当初、金田前会長の解任理由はパワハラによるものと公表されていましたが、日 P 執行部は、該当のパワハラがあったとされる日のやり取りが録音されていたと知る や、その理由を会長としてふさわしくない言動があったというものに置き換えまし た。そもそも会長にふさわしくないなどという曖昧な理由で、総会で承認を受けた会 長を電撃的に解任へ追いやる事ができるのでしょうか。解任の報告を受けた日 P の 理事会でも、協議会代表者会でも、全てハラスメント委員会によってパワハラが認定 されたことを理由としていたにもかかわらず、後日、解職の理由は会長にふさわしく ないとする言動があったからであるとしてそれらの言動を記した書面が公開されまし た。ところが、これは事実に基づいておらず、かつ、そのことを主張する金田前会長 の反論は一切受け付けないという一方的な書面です。よって、日 P の理事会での決 定も協議会代表者会への報告も虚偽の情報に基づくものであり、いったん解任決議を 取り消して、元に戻ってやり直すべきなのです。もともと日 P といっても、PTA 活 動の一環であり、ボランティアの集まりです。もしその活動にふさわしくない言動が あったのであれば、日頃から仲間として行動を共にしているわけで、その場で注意す れば済む話かと思います。しかし、実際には事前になんの注意や前触れもなくいきな り解任するという行動には、利害関係者の策略があると感じます。私はそのパワハラ 認定の対象とされた日の、事務局における金田前会長のやり取りの録音テープを聞い て文字起こしをしましたが、金田前会長には全くパワハラと感じられる行はなく、濡 れ衣をかけられ、OB に嵌められたのだと感じました。

 

5. 関東ブロック協有志が情報開示請求を行う過程で、日 P 執行部より各協議会の理事 会などで開示請求について協議し、それをすることを承認した議事録を添付せよとい う要求がありました。これは、時間稼ぎに過ぎない行為であり、かつ、協議会代表者 の権限を根本から覆す行為であります。協議会代表者は、その協議会の代表を担って おり、日 P 執行部のいうその理屈が通るのであれば日P総会での議決に際しても全 て各協議会の議事録を添付しなければならことになります。もとより、日P理事会の 決定も、全て議事録の公開を伴うものとならなければなりません。しかし、日 P の 理事会の回答などには議事録は添付されておらず、協議会代表者を軽んじる対応に憤 りを覚えました。

 

6. そもそも公益社団法人である日 P は、社員である我々協議会代表者に情報の開示を 行わなければならないはずです。それでも応じないのは、隠さなければならないもの がそこにあるからなのではないのか、との疑念を抱かせる結果となっています。

 

7. 2023 年 11 月 3 日のニュースで、後藤会長のインタビューの内容が紹介さました。そ の中で後藤会長は、赤字原因の徹底追及と日P改革に意欲を示しました。しかし、や っていることは真逆で、既に述べたように金田前会長が設置した日 P 改革委員会を 廃止し、自分を会長に推薦してくれた T 氏が専務理事を務める地域創生応援団との 連携事業を推進するよう指示を出しており。赤字問題にも全く真摯に取り組んでいま せん。

 

8. 2023 年 11 月 18 日に、国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された日P 代表者会議では、代表者による質疑の時間は全く取らないと宣言されました。閉会の 宣言とともに会場からは発言を求める声が上がり、関東ブロック協のメンバーが執拗 に食い下がると、なんと専務理事が「めんどい」と発言し、一同騒然となりました。 強い抗議の結果、専務理事をはじめとする日P執行部は、関東ブロック協に対する質 疑などの場を今後必ず設けること、また、その内容を他の協議会へも報告することを 全国の代表者の前で約束しましたが、その約束は現在も果たされていません。我々協 議会代表者の正当な抗議に対して、「めんどい」などという言葉が専務理事の口から 出ること自体、日P執行部が明らかに協議会を軽視していることを意味しています。

 

まとめ

 

 私は、以上の日 P 執行部の一連の行動に強い不信感を感じます。開示請求も赤字責任 の追及も、全て時間引き伸ばしをして応じることのないまま誤魔化そうという意図は明ら かであり、そのことによって、数々の疑問をいだいている協議会代表者の任期切れによる 交代を待っているように感じます。

 日 P のこのガバナンスの低さ、そして、コンプライアンスを全く無視した強引な運営 を見ると、日Pという組織に所属する価値があるのだろうかとの疑問を禁じえません。日 P は、国レベルで文科省や国会議員に対しても影響力を持つ組織としてその役割に期待し ておりましたが、現在、日P執行部は文科省や国会議員に我々の声を届けるような活動は しておらず、大きな改革が必要と感じます。

 そこで、私は日 P に対し、組織の正常化を強く求めてまいりました。そして、2024 年 3 月に開催された日Pの臨時総会に一縷の望みを託して臨みましたが、日P執行部には、 膿を出し切り改革をしていく意気込みは全く感じませんでした。

 このような結果となり、誠に申し訳ございません。日 P の改革に向けて尽力したいと いう私の思いは叶わず、組織の中にいて改革を進めていくという当初の思いは断念いたし ました。上部組織への批判というものはとって返せば群馬県 PTA 連合会という連合会組 織の存在意義を問うこととなり諸刃の刃であります。この教訓を生かし、当連合会では令 和5年度に改革委員会を発足いたしました。当連合会の機構の見直しやガバナンスの強化 につとめ、そして我々のスローガン「子どもたちのたくましく生きる力をはぐくむため に、自ら学ぶ PTA 活動を推進しよう!」の実現のために努力を続けてまいります。

 今後の対応に関しましては、群馬県 PTA連合会の理事会で討議させていただきます。

以上